​ 金継ぎは、日本人の様々な精神性が折り重なり生まれた文化の一つです。

「壊れた器を直して使うこと」そのこと事態が海を渡れば驚かれる事ですが、直した箇所を金で加飾を行い美的価値を高めるなんて、

 本当に奇妙な文化だと思います。

 

 お直しのご依頼で私の元にやってくる器は二通りあります。大事な思い出の詰まった器と好きで集めている作家さんの器です。

 それらは、古代の日本人が大事な土器を漆で直していたことと、中世の茶人らが名器を集め壊れたら金継ぎを施し使っていた

 こととも共通し、人と器の関係性の本質は普遍的であることを物語っています。

 

 これだけ便利でモノに溢れる現代に於いて、このような文化が脈々と受け継がれ、更には海外の方もがこの文化に感動する所以は、

 人間誰しもが持つ原始的な心性に呼応しているからではないでしょうか。​

 

   志村いづみ 1982年山口県生まれ。人の心に興味があり、関西大学社会学部心理学専攻に入学するも、アルバイトで始めた

 アパレルの仕事に夢中になり、卒業後の20代をアパレル企業で働いて過ごしました。

 ところが、ものすごいスピードで、大量生産、大量消費される服たちの山を見て疲弊すると共に、

 手触りのある仕事への憧れが芽生え、長い「自分の仕事」探しを経た後、2015年に金継ぎに出会い、ほぼ独学で現在に至ります。

 

 引越しの多い人生で、東京、大阪、パリを経て現在は千葉県在住。自然に囲まれた築150年の日本家屋で暮らしながら、

 月に一度は都心に出かけ、現代だからこそ出来るバランスの良い暮らし方を模索しながら生きています。

 また、日々気温や湿度に左右される漆という天然素材と向き合う事で、自然と共に生きることを学んでいます。

 

 美しく丈夫なお直しを心がけ手を動かす自分の営みが、文化を継承していくことだけでなく、

 モノと人間の関係を再考する、小さな循環を生み出す源泉となることを願います。

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